北江分局に正式に配属されて始めての事件です。書き始めて気が付いたのですが、盛りだくさん過ぎていつもの癖で異常に長文になりそうなので、3回くらいに分けようかなあと。
さてこのブログ、完成するのはいつになるんだろう・・・
図鑑2 美容整形外科医殺人事件
担当したいの? 条件は一つ、沈翊を連れて行きなさい。
杜城は張局長に命じられ、止む無くチームに沈翊を参加させます。
事件の概要
42歳の美容整形の院長 梁毅(リャンイー) が自宅で亡くなっているのが発見された。
通報者は秘書の劉云(リウユン)。彼女は手術の時間が過ぎても院長が5階の自宅から同じビルの診療所に降りてこないので様子を見に行き死体を発見した。
捜査の進行・時系列 初日
現場検証 (何溶月チーム、杜城チーム)
事情聴取 (杜城、女性警官)
隠し部屋の発見 (沈翊)
盗撮動画録画メディアの発見-82枚 (沈翊)
自宅に保管されていた診療記録-87件 (杜城チーム)
エントランス前監視カメラ映像の確認 (杜城、蒋峰、沈翊)
監視カメラ映像の確保 (杜城、蒋峰)
盗撮動画の確認(制服警官、杜城、蒋峰)
エントランス前監視カメラ女性似顔絵作成 (沈翊)
カルテの確認 (李晗)
捜査に用いた技術
削った鉛筆の芯の塵を紙の上に置き、風の流れを確認し、壁の向こう側にある隠し部屋を発見した。
風が吹く仕組みを簡単に説明すると、大気には上下から圧力がかかっています。重力と地面からの反発力。そこで、大気は隙間があれば横へ逃げようとしますが、当然横方向にも大気が存在するのでお互いに押し合います。壁などで遮られた空間の場合、壁の両側で気温差があった場合、温度が高い方の大気は軽いため、重力から受ける影響が下がって気圧が低くなります。逆に低い方は気圧が高く押しつぶす力も強いので、壁に隙間があれば、気圧が高い方から低い方に向かって圧力が均等になるまで風が吹きます。
雑な図ですみません。人が出入りするため体温や照明の温度、かつ窓からの光で温められている部屋と閉め切って窓のない、電気も付いていない部屋では温度差があったものと思われます。
温度の低い気圧の高い部屋から、暖かい気圧の低い部屋に向かって人には感じられない程度の風が吹いていることに気が付いた沈翊は、隠し部屋の存在に気が付きます。
マーカート博士による 完璧な顔
これは初めて李晗を見た時に沈翊が感じた彼女への第一印象でした。
カルフォルニアの形成外科医スティーブン・マーカート博士が、顔のパーツの位置、大きさの比率に落とし込んで黄金比マスクを作成しました。これにより、西洋人、東洋人、男性、女性の顔の美の基準が計算できるというものです。
沈翊は女性の顔を見た時に、ルッキズムで美醜を判断するのではなく、黄金比に対してどれくらいのズレがあるか程度でしか人の顔を判断しません。これはその後に、猪英子を見た時にも「実際美しいと言うべきですね。あなたの顔は非常に対称的です。」と言っている辺りからも受け取れます。
三庭五眼
マスクで隠れた容疑者の顔を描こうと努力する沈翊。彼がこの回で用いた技法は、この三庭五眼の技法。
三庭は額の生え際から眉骨、眉骨から鼻底まで、鼻底から下へ、それぞれ顔の長さの1/3ずつ。
五眼は目の長さを単位として、顔の幅を5つの等分に分割、目の幅で右目の外側、右目、目と目の間、左目、左目の外側と分割します。
これによって、マスクで隠れている顔の下半分の大体のスケールを想定し、配置を見当つけます。
三十六の骨点
マスクの下に隠れている部分は、マスクのふくらみの様子から、骨の形を想定し、点でつないでいきます。その際に、左右の点の位置のずれや、顔の凹凸の歪みに不審を覚え、線でつないだ後、修正のために、マーカート博士による 完璧な顔を持つ李晗にモデルを依頼し、ズレの度合い、長さや高さを調整して顔を想像して描いていきます。
多分整形手術の過程で骨を削ったり、プロテーゼを入れたり、糸で吊ったりして本来の骨の造形や筋肉の形と異なる顔に崩れてしまっていたんでしょうね。
美の追求
美の追求と切り離せないのはルッキズムだと思います。当然、種の保存や、自己保存の本能的な感性からどうしても、標準により近いもの、若く衰えのない容貌に、人、もしかしたら動物でさえも惹かれてしまうのは仕方がないことなのかもしれません。
ですが、過剰にそれが行き過ぎてしまうと、差別につながったり、自尊意識を損なうことにもなりかねないので、美に囚われ過ぎてはいけないなあと自省する今日この頃。私自身(自分では)面食いだと思うので・・・
沈翊のすばらしさは前述した通り、同性、異性の容姿を好悪、美醜の判断ではなく、単なる黄金律との乖離や、骨点の作り出す星座のような座標としてとらえている点です。ある意味、動物的な部分が排除されていて非人間的なのかもしれませんが、常に容姿で判断される社会に、息苦しく生きている女性としての自分を振り返ると、全世界の人間がそういう目線で生活してくれないものかなあと願ってしまうこともあります。
若い頃は胸をじろじろ見られたり、ある程度年齢が上がると今度は、着たい服を着ていると年齢とのギャップで変な顔をされたり。抗がん剤で毛がないときはウィッグなしでは外に出られなかったし。
自分ではそんなつもりはなくても、気が付くと他人の目に違和感を感じさせてはいけないと、自分を縛り付けてしまっています。
人の目に映る自分ではなくて、鏡に映る自分に満足するための美容整形はアリだと思うんですけどね。






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