前回からの続き。初日は現場検証で隠し部屋から大量のビデオとカルテを発見した杜城チーム。ビデオの大半は院長 梁毅(リャンイー) が意識がない患者たちを凌辱する動画だった。
事件の概要 - 初日の捜査を終えて
院長 梁毅(リャンイー) は特定の患者たちを自らが担当し、カルテも特別に管理していた。その女性たちは秘密の部屋で梁毅に凌辱され、番号の貼られたメディアに隠し撮りされていた。無くなっていた5枚のメディアのうちの誰かが犯人の可能性があると見当づけたが、整形前の顔写真と整形後のビデオではその5人が特定できない。5人の女性たちは誰なのか。この中に容疑者はいるのだろうか。
捜査の進行・時系列 翌日以降
司法解剖(何チーム)
進捗会議(張局長、杜城チーム)
カルテと動画の照合依頼 (杜城、女性警官)
艾文の母親への事情聴取(杜城、蒋峰)
艾文への事情聴取(杜城、蒋峰)
動画から整形前の顔の復元画作成(沈翊)
特定された5人の事情聴取(閻)
事情聴取のモニタリング(杜城、沈翊)
エントランス前監視カメラ映像の再確認 (杜城、蒋峰)
刘连明の遺体発見 (杜城、蒋峰)
司法解剖(何溶月)
蒋歌事情聴取 (杜城、沈翊)
蒋歌逮捕(杜城チーム)
蒋歌尋問(杜城、李晗)
尋問のモニタリング(蒋峰、沈翊)
DNA検査(何溶月)
尋問(杜城、沈翊)
捜査に用いた技術
今回絵画の手法よりも心理に関する洞察が多かったような気が。
白目の科学
「すべての霊長類の中で 人間の 白目が最大であると 知っていますか」
それがどうした?と言う杜城に沈翊は説明します。
「白目の 大きさに基づいて、それはパニック状態を示したり怒りや悲しみを表現します。僕が捉えているのは顔の類似性ではなく彼女たちのさまざまな感情です。」
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またしても雑な図ですが、瞳孔が大きくなると、人は自分や物に対して相手が好意や興味を持っていると認識するし、瞳孔が縮むと、不快な気持ちを目の表情に感じ取ってしまいます。これは教科書で習わなくても、自然と人の表情を読むときに身についている知識です。
歩いたり自転車に乗るのと同じように、いつの間にか反応できている本能的な判断です。
また、白目の範囲の大きさで、精神状態が安定しているのか、不安を感じている、怒りすら覚えている、などの振れ幅も検討をつけられるようになります。
瞳孔の大きさや細さと印象の違いは上図の猫を見るとなんとなくわかっていただけるかも。
それから白目の分量については、漫画などでも、少女は大きな目で黒目が大きく、星も飛んでることが多く、かわいらしさや明るさ、純粋さが表現されます。
青年男性や中年になると、目は細く描かれ、感情の起伏が乏しくなり、怒りや侮蔑を現す時には目を左右のどちらかに寄らせて白目を多く描きます。
漫画ほど極端にデフォルメしてなくても、絵画でも瞳孔の大きさや白目の分量はモデルの表情を描く際に技法として用いられます。
沈翊はここから、動画に映った顔の中から恐怖や恥辱、怒りの反応を探して描き出しました。
因みに、白目の効果を用いる身近な動物がいます。犬です。彼らは人間と協働して狩りを行ったり、人と暮らすうちに目の表情を覚えたり、まねたりできるようになったんでしょうかねえ。我が家の愛犬もおやつを前にすると目をキラキラさせて喜びます。他の動物の白目が目立たないのは、狩りをする習性などから何に興味を示しているか見破られないためだそうで、硬膜(白目)が茶色っぽい色で黒目(角膜)との差が目立たないらしいです。
爪に青酸カリ
このドラマの細かいところで気に入っているのが、ストーリーに無理がない点です。青酸カリで殺人をした女性の職業は建築デザイナー。中国では判りませんが、一般的に青酸カリを手に入れることが出来る職業は限られていて、そのうち、管理が多少杜撰かもしれない(失礼な!)のは塗装業や鉄鋼業だと個人的に思っています。他の職業だと、手に入っても、使ったらバレると思うんですよね・・・
建築デザイナーであれば、カウンターくらいは自分で作ってしまうでしょうし、窓枠塗装は当然、溶接免許は持っていてもおかしくないかと思います。
ブラックマーケットはあるかもしれないけれど、職業柄手に入りやすくてそのことがあまり知られていなく、疑われにくい建築デザイナーに、青酸カリを使わせた点が納得でした。
また皮膚吸収するし、うっかり目を爪で触ったりしたらマズいので、犯行後すぐに爪を切ってマニキュアを塗り直すところも、職業柄「わかってる」感で、その描写はないけれど、正しいところ、大好きです。
沈翊はその彼女のうっかりを見落とさず、マニキュアの経過時間による色の違いに気が付き、杜城は化粧台のごみ箱から爪のかけらを見つけてそれが最終的な決め手となりました。
防犯カメラ映像の仕掛け
事件当日の映像は、玄関に写った女性が忽然と他の近所のカメラには映っておらず、足取りが全く追えませんでした。不審に思った杜城たちは、当日勤務していた警備員を調べようとします。事件当日の防犯カメラ映像は丸24時間、別の人差し替えられていました。
そして、蒋歌が提出したアリバイの防犯カメラ映像を見て、沈翊は李晗に付近の屋内の監視カメラ映像を探させます。窓から差し込む日照の強さを比べようと考えました。流石、画家です。画家もカメラマンも光を捕えます。だから、沈翊にとっては、防犯カメラの日の当たり方は動画に細工がないかを判断する最も手軽な判断基準でした。案の定、別の日のデータが彼らに渡されていたことが判明しました。
二つの防犯カメラのからくり。これも、防犯カメラの仕組みに詳しい建築デザイナーならではの目の付け所だなーと感心。こんなヤバイ美容整形医師と知り合わなかったらきっと知的で立派な職業人になれたはずだったのに。
ガラスの天井
蒋歌が苦しんだ職業上のハンディ。これはどの職業にもあるのですが、建築や医療、開発、製造、男性のものと思われがちな職業において顕著だと思います。
私自身、新卒で入社した薬業界。医薬品の営業では、女性は若いうちはとても可愛がられるし、少ないから顔も覚えてもらいやすい。同性の看護師や薬局長にも親切にしてもらえる。でも、大きな仕事をしようと思った時に、途端に、本当に信頼されているのは男性なんだなーと悲しい気分を味わうことは度々。男性上司を連れて行くと途端に態度が変わるし、そもそも女性の管理職は内勤にしかいない。
転職したITの世界でも、私はセキュリティやネットワークやサーバーに強く、ドキュメントだって書けるのに、人と接することに長けている、と勝手に言われて、ユーザー寄り、インフラ寄りの仕事に回される。確かにユーザーサポートは得意だけど、人を対象にする仕事はどれだけ熟練しても技術の向上にはつながりにくいので、悔しい。
女性の役割、サポート的な仕事、若い頃には不公平だと感じていた。いつの間にか、こういう人生も楽で良いよね、と楽しむようにはなったけど、男性だったら多分違う仕事の可能性が沢山あった。自分の人生を切り開くにも「男性様」の承認が必要なのが今の社会、少なくとも私の周りの世界だった。
年を取ってきて感じるのは、その男性様同士だって、常に競争し続けなければならなくて生き辛そうだということ。女性にとってはガラスの天井だけど、男性にとっては薄いガラスの床で、いつ踏み外して足元が崩れるかわからない状況なんだよね。
私は能力が高かろうが低かろうが、努力を惜しまなかろうが、怠惰であろうが、その人の本分さえこなせば、それに合わせて幸せに生きられる社会の方がいいと思う。頑張れる人は心底頑張ればいい。男女の役割も関係ないし、年齢も関係ない。
原始キリスト教の共同社会に生まれて美味しいチーズを作って皆に喜ばれる職人になりたい。



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